中小企業共通EDIとは中小企業向けに最適化された取引データをやりとりする仕組みです。取引データを扱うシステムや書類フォーマットを統一することで多画面問題を解決し、受発注業務のIT化を推進する効果が期待されています。
この記事では、中小企業共通EDIについて詳しく解説。導入方法や補助金も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
中小企業共通EDIとは?
中小企業共通EDIとは、中小企業向けに最適化された取引データのやりとりをする仕組みのことです。企業間の受発注システムを共通化し、中小企業の受発注業務を効率化するため、中小企業庁が策定・普及を進めています。
導入後は業務時間が平均5割削減されたというデータもあり、大きな効果が期待できます。
中小企業共通EDIが生まれた背景
IT化が進む現代でも、多くの中小企業では紙やFAX、電話で受発注業務が行われています。受発注業務のIT化が進まないのは「多画面問題」が要因と考えられており、中小企業共通EDIはこの問題を解決するために作られました。
多画面問題とは? 業務を発注する企業が各々独自の受発注システムを使うことで、下請けの企業が複数の受発注システムを利用する必要がある状態のことです。 複数の受発注システムを使用すると、管理や書類制作が複雑化して作業効率が悪くなります。発注元が多くなる下請けの中小企業では、受発注システムを使うと電話やFAXでの受発注業務より効率がわるくなるため、IT化が進まない原因となるのです。 |
各企業の受発注システムを共通化できれば、ひとつの受発注システムで複数の企業とやり取りがしやすくなり、IT化による業務の効率アップが期待できます。
中小企業共通EDIのメリット
中小企業共通EDIを導入すると業務効率がアップしますが、具体的にはどのような変化があるのでしょうか?
導入後の3つのメリットを確認してみましょう。
中小企業共通EDIのメリット1
業務の効率化によるコスト削減
複数の受発注システムを利用していた場合、それぞれ別のフォーマットの書類を作る必要があり、書類作成に手間がかかります。中小企業共通EDIを利用すると受発注業務を共通のフォーマットで書類を作れるため、業務の効率化が可能です。
また、紙や電話などで対応する必要もなくなるため、郵送やFAXなどによる送付の手間もなくなります。
中小企業共通EDIのメリット2
人的ミスの軽減
受発注をデータでやり取りできるようになると、電話での聞き間違いやパソコンへの入力間違いなどの人的ミスを減らすことが可能です。
さらに、中小企業共通EDIでは発注側がデータを入力すると、受注側のパソコンへ自動的に登録されます。登録されたデータは書類作成時に流用できるため、データの入力ミスを減らすことができるでしょう。
中小企業共通EDIのメリット3
取引情報の管理・検索が容易
書類をデータ化するため、書類の保管スペースが必要なく、管理も容易になります。過去の取引情報はデータベースに保存されるため、いつでも簡単に検索が可能です。
中小企業共通EDIの導入方法
中小企業共通EDIを導入するには、「中小企業共通EDI認証制度」で認証されたソフトウェアやサービスを導入する必要があります。認証制度の詳細や具体的なソフトウェア・サービスについては、「中小企業共通EDIポータルサイト|共通EDI対応製品・サービスの認証制度について」をご確認ください。
「自社だけでの導入が難しい」「IT人材の不足により取引先への説明や調整が難しい」といった場合は、共通EDI推進サポータに相談しましょう。共通EDI推進サポータは、中小企業庁に認定された中小企業共通EDIの専門家です。受発注業務効率化や中小企業共通EDIの導入について相談できるため、ぜひ活用してみてください。
問い合わせ先などは「中小企業共通EDIポータルサイト|共通EDI推進サポータ」で確認できます。
中小企業共通EDIの導入に利用できる補助金・支援制度
中小企業共通EDIを導入する際、以下の補助金・支援制度が利用できます。
- IT導入補助金
- 日本政策金融公庫|IT活用促進資金
導入資金の助けとなるため、活用を検討してみてください。
IT導入補助金については「IT導入補助金とは?ITツールとは?申請方法や2022年の申請スケジュール、申し込み方法をわかりやすく解説」で詳しく解説しています。
中小企業共通EDIの重要ポイントのおさらい
- 中小企業共通EDIとは、中小企業向けに最適化された取引データのやりとりをする仕組みのこと
- 中小企業共通EDIが作られた理由は、受発注業務のIT化が進まない原因である「多画面問題」を解決するため
- 中小企業共通EDIを導入するメ具体的なメリットは、「業務の効率化によるコスト削減」「人的ミスの軽減」「取引情報の管理・検索が容易」の3点
- 中小企業共通EDIを導入する際は、共通EDI推進サポータに相談する
- 中小企業共通EDIの導入には、IT導入補助金などが利用できる。
中小企業共通EDIの導入は、ITに詳しい人材が居ない中小企業では難しい場合があります。中小企業庁や自治体ではさまざまな支援施策を行っているので、上手く活用しましょう。
経営の悩みや補助金の活用について、詳しく知りたい方はこちら
監修者
株式会社はじまりビジネスパートナーズ 代表取締役
中小企業診断士
白川 淳一
株式会社はじまりビジネスパートナーズ 代表取締役 ・食品メーカー 大手スーパー担当営業、商品の仕入交渉、輸入交渉、委託生産先の管理、子会社役員などライン~スタッフまで全般業務を経験 ・広告代理店系列 データ分析会社、消費者の購買データの分析、商品開発や営業向け用データマーケティングのコンサルティング
この記事を書いた人
杉本 直哉
自動車部品メーカーに11年務めたのち、WEBライターとして独立しました。執筆経験のあるジャンルは自動車・商品紹介メディア・無線通信・金融など。ファクトチェックを徹底し、正しい情報を伝えられるよう心がけています。趣味はコーヒーの焙煎、ゲーム、スノーボードなど。
参考リンク
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/gijut/2018/180514pamfletEDI.pdf