ものづくり補助金:革新的な取り組みの申請ポイント解説【中小企業診断士監修メディア:merumeta(めるめた)】

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「ものづくり補助金」とは、サービス開発や設備投資などにおいて新しい取り組みに挑む中小企業等をサポートする補助金のことです。製造業に限らず、さまざまな業種で申請できます。ものづくり補助金の特徴や申請時に意識したいポイントを解説します。

ものづくり補助金とは

ものづくり補助金とは、革新的なサービスの開発や設備投資、試作品の開発を支援するための補助金です。正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といい、製造業だけでなく、卸売業や小売業、サービス業、農林水産業などの多様な業種で活用できます。

ものづくり補助金には「ルーキー優遇」の制度があります。ものづくり補助金のルーキー優遇は、過去にものづくり補助金や類似の補助金の交付を受けたことがある企業が、審査時に減点される仕組みです。交付をはじめて受けようとする企業は、交付を受けたことがある企業よりも有利になります。

【2022年度】ものづくり補助金の特徴

ものづくり補助金の特徴は年度によって違いがあります。2022年度(令和4年度)のものづくり補助金の大きな特徴は次の2点です。

【2022年度】ものづくり補助金の特徴
公募回数と実施期間の変更

2022年度の公募は約3カ月に1回の計4回行われます。1回の公募あたり、応募期間約2カ月審査期間約1カ月の期間がかかる予定で、6・9・12・3月のタイミングで採択結果が発表されるスケジュールです。
補助事業の実施期間について、昨年度までは公募のタイミングによって期間が異なっていましたが、今年度からは「交付決定から10カ月(採択発表から12カ月)」と統一されています。

【2022年度】ものづくり補助金の特徴
一般型の細分化

11次締切分の公募から、一般型が「通常枠」「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「グリーン枠」に細分化されました。それぞれの補助上限額と補助率は以下のとおりです。

▼「通常枠」「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」の補助上限金額・補助率

従業員数補助上限金額補助率
5人以下750万円以内2/3以内
6〜20人1,000万円以内
21人以上1,250万円以内

▼「グリーン枠」の補助上限金額・補助率

従業員数補助上限金額補助率
5人以下1,000万円以内2/3以内
6〜20人1,500万円以内
21人以上2,000万円以内

ものづくり補助金を申請するときのポイント

ものづくり補助金を申請する際は以下の4つのポイントを押さえましょう。

  • 革新的な事業内容を考える
  • 自社が抱える課題を解決するストーリーを明確にする
  • 成果を従業員へ還元する
  • 加点項目を意識する

ものづくり補助金を申請するときのポイント
革新的な事業内容を考える

ものづくり補助金の審査では、革新的な事業に取り組む計画が立てられているかが重視されます。
ものづくり補助金が重視する「革新性」とは、地域や業種・業界の先進事例であることです。つまり、「自社のなかで新しい取り組みか」だけでなく、「他社と比較して革新的か」を意識することが必要になります。

ものづくり補助金を申請するときのポイント
自社が抱える課題を解決するストーリーを明確にする

ものづくり補助金の申請書を作成する際は、自社が抱えている課題を具体的にどう解決するのか明確に示すことが大切です。
課題解決のためにどういった設備の導入やサービスの開発をするべきなのかを検討し、その結果、経営力が上がるまでのストーリーが現実的であるように計画を練りましょう。

ものづくり補助金を申請するときのポイント
成果を従業員へ還元する

ものづくり補助金の事業計画において、賃上げと給与支給総額の増加は義務ですが、一定以上の賃上げと給与支給額の増加が約束できる場合は「賃上げ加点」の対象となります。具体的には以下の条件を満たした場合に加点が行われます。

【賃上げ加点の条件】「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均2%以上増加させ、かつ、事業場 内最低賃金を地域別最低賃金+60円以上の水準にする計画を有し、事務局に誓約書を 提出している事業者」、又は、「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均3% 以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+90円以上の水準にする計 画を有し、事務局に誓約書を提出している事業者」

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(11次締切分)

生産性を上げ、付加価値も向上できた場合の成果を従業員に還元することは、補助金の意義を果たす理想的な活用方法のひとつなので、加点対象となる条件を満たせるか検討してみましょう。

ものづくり補助金を申請するときのポイント
加点項目を意識する

ものづくり補助金には、上述した賃上げ加点のほかにもさまざまな加点項目があります。審査は基本的な審査項目をクリアしたうえで、加点項目を取り入れていくことでより評価が上がります。
経営革新計画の承認を受けている場合は「成長性加点」、事業継続力強化計画の認定を受けていれば「災害等加点」などそれぞれの取り組みによって、加点される場合があるので加点項目を確認してみましょう。

加点項目は公募によって変更・更新される可能性があるので、最新の公募要領をご覧ください。

ものづくり補助金の重要ポイントのおさらい

  • ものづくり補助金とは製造業はもちろん幅広い業種が受けられる補助金
  • 事業再開枠と特別枠があり、新型コロナウイルス感染症を乗り越える取り組みをサポート
  • 申請するときは革新性や具体的な計画の策定を心がける

ものづくり補助金は革新的なサービス・商品の開発や設備投資を支援するものです。2022年度の公募は4回行われるので、申請のポイントを押さえてぜひ活用してみましょう。

経営の悩みや補助金の活用について、詳しく知りたい方はこちら

監修者

株式会社はじまりビジネスパートナーズ 代表取締役
中小企業診断士
白川 淳一

株式会社はじまりビジネスパートナーズ 代表取締役 ・食品メーカー 大手スーパー担当営業、商品の仕入交渉、輸入交渉、委託生産先の管理、子会社役員などライン~スタッフまで全般業務を経験 ・広告代理店系列 データ分析会社、消費者の購買データの分析、商品開発や営業向け用データマーケティングのコンサルティング

この記事を書いた人
箱田 かの

飲食業や小売業、ワーキングホリデーなどを経て、現在はWEBライター歴5年以上になりました。執筆経験のあるジャンルはIT系求人・アパレル・商品紹介メディア・自動車・金融など。 石橋を叩いて壊すほど心配症なおかげで身についたリサーチ力とネットリテラシーが今の仕事を支えています。趣味は音楽とお酒です。

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