事業承継とは、会社の資産・知的資産・経営権などを後継者に引き継ぐことを指します。後継者の育成には時間がかかるため、早めに事業継承の計画を立てておきましょう。この記事では、事業承継について詳しく解説。資金面の負担を支援する税制や補助金の紹介もしているため、これから事業承継を進めていく方は参考にしてみてください。
事業承継とは会社の経営権などを後継者に引き継ぐこと
事業承継とは、会社の資産や知的資産、経営権を次世代の後継者に引き継ぐことです。経営者も年を取ると、いずれ第一線から退きます。会社を存続する場合、後の引継ぎをどうするか考えなければいけません。
後継者の育成には5~10年かかる場合もあり、早めに準備を進めることをおすすめします。経営状況の見える化や企業価値の向上、承継計画の策定など、やらなければならないことが多いため、計画的に準備を進めていきましょう。
事業承継の準備手順など、更に詳しい解説は「事業承継したい場合はどうしたらいい?準備の手順をわかりやすく解説」をご確認ください。
贈与税・相続税の問題を解決する「事業承継税制」
事業継承で後継者が自社株などを相続する際、贈与税・相続税が発生します。相応の現金が必要となり、後継者にかかる税負担の大きさが事業継承のハードルを上げる一因となっていました。しかし、「事業承継税制」を活用することで、これらの税金の納税猶予が生まれ、場合によっては免除が可能です。税負担を軽減できるため、ぜひ活用してみてください。
事業承継税制には「法人版事業承継制度(特例措置)」「法人版事業承継制度(一般措置)」「個人版事業承継制度」の3種類があります。
事業承継税制の対象と納税猶予
対象 | 納税猶予 | |
法人版事業承継制度(特例措置) | 上場していない中小企業 | 相続税・贈与税:100% |
法人版事業承継制度(一般措置) | 贈与税:100% | |
個人版事業承継制度 | 青色申告にかかわる事業 | 相続税・贈与税:100% |
適用するにはそれぞれの適用条件を満たし、申請が必要です。詳しくは「中小企業庁|事業承継の支援策」をご確認ください。
「事業承継・引継ぎ補助金」も活用
事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継を契機とした経営革新や、経営資源の引継ぎに要する経費の一部を補助するものです。資金面で事業承継が難しいと感じる方は、活用を検討してみましょう。
補助金は以下の3種類があり、それぞれ対象や補助金上限などが異なります。
令和4年度 事業承継・引継ぎ補助金 3種類の概要
対象 | 補助率 | 補助上限 | |
経営革新 | 事業承継・M&Aの際、経営革新に挑戦する中小企業・小規模事業者 | 1/2 | 500万円以内 |
専門家活用 | M&Aによる引き継ぎを予定している中小企業・小規模事業者 | 400万円以内 | |
廃業・再チャレンジ | 事業承継などにより既存の事業を廃業し、新たな取り組みに挑戦する中小企業・小規模事業者 | 150万円 |
なお、制度の内容は年度により異なる場合があるため注意しましょう。令和4年度の事業承継・引継ぎ補助金の詳細は「令和4年度 当初予算 事業承継・引継ぎ補助金」をご確認ください。
事業承継の重要ポイントのおさらい
- 事業承継とは会社の資産・知的資産・経営権などを後継者に引き継ぐこと
- 「事業承継税制」では、条件を満たすことで贈与税・相続税の納税猶予を持たせたり、免除したりできる
- 「事業承継・引継ぎ補助金」には「経営革新」「専門家活用」「廃業・再チャレンジ」の3種類があり、条件を満たす場合補助金が受け取れる。
事業承継は時間がかかるため、計画的に進めていくことが重要です。準備を進めていく中で、税金や事業継承の活動費用など、資金面で不安がある場合は税制や補助金を活用しましょう。なお、これらの支援を受けるには条件を満たし、申請をする必要があります。支援の受け方に迷う際は、専門家への相談も検討してみてください。
経営の悩みや補助金の活用について、詳しく知りたい方はこちら
監修者
株式会社はじまりビジネスパートナーズ 代表取締役
中小企業診断士
白川 淳一
株式会社はじまりビジネスパートナーズ 代表取締役 ・食品メーカー 大手スーパー担当営業、商品の仕入交渉、輸入交渉、委託生産先の管理、子会社役員などライン~スタッフまで全般業務を経験 ・広告代理店系列 データ分析会社、消費者の購買データの分析、商品開発や営業向け用データマーケティングのコンサルティング
この記事を書いた人
杉本 直哉
自動車部品メーカーに11年務めたのち、WEBライターとして独立しました。執筆経験のあるジャンルは自動車・商品紹介メディア・無線通信・金融など。ファクトチェックを徹底し、正しい情報を伝えられるよう心がけています。趣味はコーヒーの焙煎、ゲーム、スノーボードなど。