事業再構築補助金申請のポイント|流れと枠の違い解説【中小企業診断士監修メディア:merumeta(めるめた)】

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事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症の流行による環境の変化に対応するための補助金です。申請をして採択・交付決定されれば補助を受けられます。当記事では申請条件や交付までの流れ、枠の違いを解説しているのでぜひ参考にご覧ください。

事業再構築補助金の基本

事業再構築補助金とは、ウィズコロナ・ポストコロナ時代により影響を受けた中小企業等を支援するものです。新しい分野への事業展開や業態・業種の転換などによる事業再構築への思い切った挑戦をサポートします。

補助の対象となる費用は以下のようなものがあります。補助事業を始めるにあたって必要になった費用が対象となり、従業員の人件費や不動産、汎用品などは対象外となります。

  • 建物費
  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 外注費
  • 広告宣伝費
  • 研修費  等

2022年7月現在、第7回の公募が開始されており、締め切りは2022年(令和4年)9月30日18時までです。

事業再構築補助金の交付に必要な申請要件

事業再構築補助金に限らず、補助金にはその制度の目的ごとに必要な申請要件が決められています。事業再構築に必要な要件を確認していきましょう。

事業再構築補助金の交付に必要な申請要件
1. コロナ禍による売上減少の実態がある

新型コロナウイルス感染症の流行が原因で売上が実際に減少したことを示す必要があります。具体的には「2020年4月以降の連続する6カ月間のうち、任意の3カ月の合計売上高がコロナ以前(2019年または2020年1〜3月)の同3カ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること」が条件です。

この条件を満たしていなかった場合は、2020年4月以降の連続する6カ月間のうち、任意の3カ月の「合計付加価値額」が、コロナ以前の同3カ月の付加価値額と比較して15%減少していれば申請できます。

事業再構築補助金の交付に必要な申請要件
2. 事業再構築指針が示す「事業再構築」を行う

中小企業庁が示す「事業再構築指針」に沿った事業再構築を行いましょう。事業再構築指針では新分野展開事業転換業種転換業態転換または事業再編のいずれかを行うように示されています。

事業再構築補助金の交付に必要な申請要件
3. 専門機関とともに事業計画を立てている

国の認定を受けた「認定経営革新等支援機関」とともに事業計画を立てましょう。認定経営革新等支援機関とは、複雑化・多様化する中小企業等の経営課題解決への取り組みをサポートする機関です。

専門的知識やサポートに係る実務経験が一定レベル以上ある個人や法人、金融機関などが認定されています。認定経営革新等支援機関は以下のサイトで検索できます。

事業再構築補助金の申請準備から交付までの流れ

事業再構築補助金は一般的な給付金とは違うため、申請するだけでは補助金を受け取ることはできません。申請して採択を受け、交付決定の判断を受ける必要があります。
また、補助金は事業再構築にかかった費用を精算する後払い形式です。補助金が受け取れるのは補助金の対象となる事業が終了したあとになります。

申請から交付までの流れを確認しましょう。

  1. 申請準備
  2. 申請
  3. 審査・採択
  4. 交付決定
  5. 事業実施
  6. 確定審査
  7. 補助金の受取

事業再構築補助金の申請から交付までの流れ
1. 申請準備

認定経営革新等支援機関とともに策定する事業計画書をはじめ、申請に必要な書類を準備します。事業再構築補助金の申請は電子申請システムのみで受け付け可能です。申請に必要な「GビズIDプライムアカウント」取得までに数週間かかるため、早めに利用登録をしておきましょう。

事業再構築補助金の申請から交付までの流れ
2. 申請

GビズIDプライムアカウントの取得と必要書類の準備ができたら申請しましょう。申請は事業者本人が行う必要があります。書類の漏れや入力ミスなどないようにご注意ください。

事業再構築補助金の申請から交付までの流れ
3. 審査・採択

審査された結果、採択・不採択の通知があります。採択されると商号や事業計画名などが公表されます。

事業再構築補助金の申請から交付までの流れ
4. 交付決定

採択されたら、補助金交付審査申請をします。事業再構築補助金事務局によって妥当性が確認されると交付決定となります。採択されるだけでは補助金が受け取れないので注意しましょう。

事業再構築補助金の申請から交付までの流れ
5. 事業実施

交付が決定したら事業を開始しましょう。補助対象に認められた経費で、事業に必要な建物の改修や設備の導入などを行い、事業再構築に取り組みます。

事業再構築補助金の申請から交付までの流れ
6. 確定審査

事業が終了したら補助金額を確定するための審査を受けます。事業に使った経費のなかで補助事業に必要なものが補助金対象です

事業再構築補助金の申請から交付までの流れ
7. 補助金の受取

確定審査を通過すると補助金を受け取れます。事業実施中は経費を立て替える必要があることを留意しておきましょう。

事業再構築補助金の「枠」の違い

事業再構築補助金には「通常枠」「回復・再生応援枠」「最低賃金枠」「大規模賃金引上枠」「グリーン成長枠」の5つの枠があります。なかでも活用しやすい「通常枠」と、第6回公募で新設された「回復・再生応援枠」「グリーン成長枠」の3つをピックアップして紹介します。

事業再構築補助金の「枠」の違い
「通常枠」の補助額と補助率

従業員数補助額補助率
20人以下100万円~2,000万円・中小企業等 2/3(6,000万円超は1/2)
・中堅企業等 1/2(4,000万円を超える部分は1/3)
21~50人100万円~4,000万円
51〜100人100万円~6,000万円
101人以上100万円~6,000万円

事業再構築補助金の「枠」の違い
「回復・再生応援枠」の補助額と補助率

従業員数補助額補助率
5人以下100万円~500万円・中小企業等 3/4
・中堅企業等 2/3
6~20人100万円~1,000万円
21人以上100万円~1,500万円

回復・再生応援枠は、2021年10月以降のいずれかの月の売上高が対2020年又は2019年同月比で30%減少している事業者や、再生支援協議会スキーム等に則った再生計画を策定している事業者を支援する枠です。

事業再構築補助金の「枠」の違い
「グリーン成長枠」の補助額と補助率

会社の規模補助上限金額補助率
中小企業等1億円以内1/2
中堅企業等1.5億円以内1/3

グリーン成長枠は、グリーン分野での事業再構築を通じて、高い成長を目指す事業者を支援する枠です。「グリーン成長戦略」の実行計画に掲げられた課題を解決する取り組みをしている事業者が対象で、研究開発や人材育成などにより、付加価値額年率5.0%以上の増加を目指す必要があります。

事業計画の策定で意識すること

事業計画書を策定する際は、認定経営革新等支援機関と相談しながら進めることが必須要件です。ただし、事業計画の策定から達成までの責任は事業者自身にあるため、認定経営革新等支援機関はあくまでもサポートする存在であり、事業者が主体的に策定していく必要があることを留意しましょう。

事業計画書の書き方に決まりはありません。補助を受けることではなく、コロナ禍をビジネスチャンスと考え、新たな事業に取り組むことが目的であることを意識して計画を練っていくことが大切です。
事業計画がしっかりしていても、他の申請書類の不備や不足といったケアレスミスで不採択となるケースもあるので注意しましょう。

事業再構築補助金の重要ポイントのおさらい

  • 事業再構築補助金はコロナ禍により経済的な影響を受けた中小企業等を支援する
  • 申請する場合は、売上減少の実態を示し、認定経営革新等支援機関とともに事業計画を策定する
  • 補助金が受け取れるのは補助金対象の事業が完了したあと

事業再構築補助金の申請には「GビズIDプライムアカウント」が必要です。取得までに時間がかかるので、補助金を申請することが決まったらまずGビズIDプライムアカウントの利用登録を優先して行いましょう。

経営の悩みや補助金の活用について、詳しく知りたい方はこちら

監修者

株式会社はじまりビジネスパートナーズ 代表取締役
中小企業診断士
白川 淳一

株式会社はじまりビジネスパートナーズ 代表取締役 ・食品メーカー 大手スーパー担当営業、商品の仕入交渉、輸入交渉、委託生産先の管理、子会社役員などライン~スタッフまで全般業務を経験 ・広告代理店系列 データ分析会社、消費者の購買データの分析、商品開発や営業向け用データマーケティングのコンサルティング

この記事を書いた人
箱田 かの

飲食業や小売業、ワーキングホリデーなどを経て、現在はWEBライター歴5年以上になりました。執筆経験のあるジャンルはIT系求人・アパレル・商品紹介メディア・自動車・金融など。 石橋を叩いて壊すほど心配症なおかげで身についたリサーチ力とネットリテラシーが今の仕事を支えています。趣味は音楽とお酒です。

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